趣味は引用
蟻と蟻と蟻
 昼間は暑すぎるので水に漬けたままにしておいた食器を洗おうと思い、台所の電気をつけると、流しの三角コーナーに黒山の蟻だかり。蟻。アリ。蟻。
 こんな感じで、もちろん、1匹1匹がわらわらと動く。

                    蟻
   蟻    蟻蟻  蟻  蟻       蟻     蟻
  蟻蟻蟻蟻蟻蟻    蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻   蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻
   蟻蟻蟻蟻蟻   蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻    蟻蟻蟻蟻蟻
  蟻   蟻 蟻  蟻蟻蟻蟻蟻蟻 蟻蟻蟻 蟻蟻蟻蟻  蟻
   蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻    蟻蟻      蟻
  蟻        蟻蟻  蟻蟻蟻蟻   蟻蟻蟻蟻蟻
      蟻蟻蟻蟻蟻蟻  蟻     蟻蟻蟻蟻蟻   蟻
    蟻     蟻         蟻       

 リアルで悲鳴を上げるのは何年ぶりだったか。
 世間で逃げちゃいけないと言われているものごとの大半からは実は逃げてもいいらしいとわかる歳になった自分だが、いま・ここからは逃げちゃだめだと理性が泣く泣くコメントを入れたので、むりやりモードを切り替える。切り替えたふうを装う。
 くわえて、あと3日分のカレーが入った鍋はまったく無事だとわかって(そりゃそうだが)いくらか落ち着く。
 自分が落ち着いても蟻は行列になって蠢き、流しの外にも壁にも、そうこうしているうちに自分のふくらはぎにも侵出しかけているのだが、いろいろこらえているとやがて侵入口は天上の一角にあるのが見えてきたので、まずそこをガムテープで塞ぐ。部屋にあるキンチョールが蟻に効かないことは小学生の時分に学んだ(「だからアリ用キンチョールがあるのか!」と深く納得するに至ったその体験はこのうえ思い出したくない)。

 トイレットペーパーを持ち出して、えんえんと虐殺。
 無言だとやりきれないのでてきとうな合いの手を入れる。汗みずく。
 やはり小学生の時分に、ある男子が異様に自然な動作で蟻を口に入れ、周囲の全員を慄かせながら述べた感想が頭をよぎった。
「しょっぱーい」
 少年、それが蟻酸だ。

《「ぼくは彼らすべてを殺したくはなかった。ぼくは誰も殺したくなんてなかったんだ! ぼくは殺し屋じゃない!(…)だけど、あんたらはぼくにそれをやらせた」》
オーソン・スコット・カード『エンダーのゲーム』

《自分の足元を見ろ
 死者の中にはお前が殺した者も
 まじっているんだ
 とんでもないカマトトだよ
 お前は》
『風の谷のナウシカ』第5巻

 カマトトでもなんでも全滅ならいいんだが、嫌な予感がしてならない。
 この日記のタイトル、意味が変わってしまった。
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