趣味は引用
その35 ― ピンチョン Lot 49
The Crying of Lot 49 (Perennial Classics)

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 これまで、何も調べずに小説の「語り手」、「信頼性」などと書き飛ばしていたので、何かものすごくまちがったことを書いたり、嘘をついてしまったような気がしてならない。泥縄でもちょっと勉強したほうがいい気がしてきたが、じつはあと1ページで第2章が終わるので、先にそこまで読んでしまうことにする。

 ○ ○ ○
She awoke at last to find herself getting laid (p29)

《ようやく目が覚めるとセックスが始まっていた。》p48/p54
「目が覚めると」ということは、やはりさっきまで眠っていたのか。ならどうして“She may have fallen asleep”(眠ってしまったかもしれない)なんて書いたのか。
 ともあれ、その最中もエディパは、部屋の外で演奏しているバンドのギターの本数をかぞえたり、まるで他人事のようである。バンドがヒューズを飛ばしてしまい、
Her climax and Metzger's, when it came, coincided with every light in the place, including the TV tube, suddenly going out, dead, black. It was a curious experience.

《彼女のクライマックスとメツガーのクライマックスが来たときと、テレビをはじめこの場所のあらゆる電灯が急に消えて真の闇になったときと、いっしょだった。奇妙な体験だ。》

ということになる。
 電気が戻るとテレビの映画は終わりかけていた。そうだ、そもそもエディパはメツガーに誘われて、彼が子役で出演している映画を見ながら、その展開を当てる賭けをしていたのだった→その27
 父親と子供、その愛犬が乗った潜水艦は、無事目的地にたどりつけるか? エディパは、「こういう映画はみなハッピー・エンドだ」と考えながらも、結局「三人は助からない」ほうに賭けていた→その28

 もし三人が助かったらメツガーの勝ちで、その場合エディパは彼に「何でも好きなものを」あげる約束だったのだが、しかし、酒を飲み過ぎたせいか、夜中にわきあがる感傷に飲まれたせいか、あるいはその両方のせいか、彼女はなかば自分からすすんでこういう状況に立ちいたる。
 映画の結末を待たずに、メツガーは欲しいものを手に入れてしまった。

…続き
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