2012/05/06

2012年5月6日(日)


■ たしか去年の年末に、友達に向かって「来年はもっとブログを更新するっす! おれブログ好きなんす!」などと口走ったようなおぼえがあるが、まあ、ほとんど更新していないわけです。更新していないのに時々はてなアンテナで上にあがってしまうのはなぜなんだろう。あるいはもうみんな、はてなアンテナなんて使っていないのだろうか。
 こんなに更新頻度が落ちている理由を考えて、その大きな原因のひとつであるツイッターから、自分のつぶやきを自分でまとめたものが2本あったので、せめて更新の代わりに貼る。

 今週のサザエさんは: 2010.10-2011.10
  http://togetter.com/li/204366

 正月の漫画のナウシカ: 2010+2011+2012
  http://togetter.com/li/294814

 ふつう、人は興味のあるものについて詳しく書くわけだけど(当り前だ)、このようにただダラダラと書き続けていたものでも「まとめる」つもりで見返してみると、書いていたことから逆に自分の興味が発見できるというか、もっと言えば、まとめることにより「自分の興味」を後付けで作ることができるかのようで、書いてまとめた私には、こんなものでも少しだけ意味があった。私には。


■ ところで、去年2011年の読書で猛烈に面白かったのは、ミシェル・レリス『幻のアフリカ』と、武田百合子『犬が星見た』を、続けて読んだことだった。前者は1931-33年のアフリカ調査行に参加した詩人による日誌で、後者は昭和44年のロシア旅行記である。
 両方とも、書き手のまわりで何が起きるにしろ、書き手自身が何を考えるにしろ、そういった出来事だとか書き手の内面だとかといったものの外にある、もっと大きくて外的な流れ(旅の進行と、何より日付)にしたがって着々と記述が積み重ねられていく、そういうタイプの本だった。
 書き手のまわりで起こる出来事、記述の内容は淡々としていても淡々としていなくても、その積み重ねは坦々と続いて分量を増してゆき、それがただ続くことでもって(分量を増すことでもって)いつのまにか1個の作品になってゆく。そこが面白かった。
 だから、この2冊の本が面白かった、というよりも、この2冊の本を読んでいる最中が面白かった、というほうが正確なのかもしれない。作品の生成する過程を目の当たりにし続けるのがこちらの興奮を呼ぶのだろうか、という感じで、理由はまだうまく言語化できないけれども、このような作品のありかたが自分は本当に好きなんだなあと再確認し、そこで「いまがアレを読むときかもしれない」と、評判だけは目にしていた青木淳悟『私のいない高校』に手を出した。

私のいない高校私のいない高校
(2011/06/14)
青木 淳悟

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 ある高校の2年生の1クラス、留学生を受け入れた教室の全体を、とくに主人公や視点人物を置くわけでもなく、担任による日誌のようなスタイルで坦々と記録していったこの小説が、去年、私の読んだ小説のベストになった。
 この小説の面白さは、まだぜんぜん自分のなかで片付いていない。まず、わざとらしい事件や物語が起きないのがリアルでいい、なんて単純なことでは決してないし、このような内容とスタイルのものを小説だと言い張ることのおかしさが面白い、というのでもない。
 ここにある面白さは小説であることからしか出てこない面白さだと思うからには、それは小説ではなかった先の2冊とは別種の面白さになるはずだが、日付のついた記述の積み重ねという点では同じであるような気もしてくるし、しかし面白さの発生源がそこだけというのでもない。
 どこに設定してあるのかわからない視点のおかしさ、つまり、数十人をばらばらに追う記述の群れのうしろにひとりの(ひとつの)書き手を想定できるようにはとても見えない書きぶりの気持ち悪さと心地よさが並立している面白さもあるにしろ、それも本質ではないような……
 さっぱりわからないのに、作中いちばんのイベントである修学旅行の朝、クラスメイトが徐々に空港へ集まってくるところの盛りあがり(作中ではなく、読んでいるこちらの盛りあがり)は、あれは何だったんだろうなあ、などと考え出すとまた読み返したくなってきて、そして読み返せば、やはりまた変な面白さが着々と続いてゆくのだった。
 以上、結論は何もないんだけど、小説でもネットでも、進行中の実況とか、日記っぽいものとか、記述の積み重ねだとか本篇と並行する注釈だとかに妙に惹かれてしまう自分の興味のありようにしたがって、なるべくたくさん騒いだり書いたり、つまり記録を続けていきたいと思う――って、こんなことを書くつもりではなかったんだけどな。



幻のアフリカ (平凡社ライブラリー)幻のアフリカ (平凡社ライブラリー)
(2010/07/10)
ミシェル・レリス

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犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)
(1982/01)
武田 百合子

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