趣味は引用
その13 /10月20日(水)  下巻P513-619
逆光〈下〉 (トマス・ピンチョン全小説)

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《言葉を超えたものに対するのろまで鉄面皮な免疫性の中で、彼は、自分の魂を救える可能性が万が一にもあるのかどうかを考え始めなければ――そして理解したことを記憶しなければ――ならなかった。》下p587

■ 思うように時間が取れずスローペースになってるけど、それでも、下p619まで来たからどきどきしてきた。
 人物再登場が甚だしく、机の上は読んでる下巻・自分のノートに加え、上巻も開きっぱなし。あっちこっちを楽しくのろのろ、森の中で迷っている。よくある比喩だがそんな感じ。

■ それにしても、この広がり方は何だろう。一応「主要登場人物」はいる。その人たちの話が脱線してく、というよりも、もっと話の絞られた「不在の本篇」があって、そこから派生した外伝・もしくは二次創作に類するような話も全部ひっくるめて「いまここにある本篇」をなしている、ような。

■ 「不在の本篇」を想定しちゃうのは、「それだったらもっと読みやすいのに」という気持のあらわれか。でも実際の本篇はこの上下巻なんだから、こっちに体を合わせるよ、もちろん。
(じじつ、この3日くらいでだいぶ慣れてきた。今の状態で最初から読み直すのがより理想に近いと思われる)

《それから彼らは列車に乗り、転轍機が一つまた一つと切り替えられた。それはまるで、自分がどれだけだまされたがっているか分からずにいる観客が、奇術師の誘導によって思い通りのカードを引かされているかのようだった。》下p609

 奇術師も、比喩だけでなくずいぶん出てきたなあ。

■ ピンチョン描くところの「魅力的な女性」は、たいてい放縦になっちゃう(性的な意味で)のが謎なんだが、放縦具合が図式的なためあまりエロくない。ここではアレとコレとソレを取り入れなくちゃ→ゆえにそうしてる、みたいな。それでいいのか。そして、これは女性だけの話じゃなかった。

■ 今日読んだなかでは、2度めのインディアンの遺跡ばなしが気になった。夢の中で出会った物語の中で、逃走中の共同体が集団的に夢見た都市。
 あと、いかにも重要アイテムな、「そこに描かれていることはすべて別の何かを表している地図」。明日も楽しそう。

■ 最後、スリープコート教授のバルカン半島・秘密の音楽探索の旅。
《彼が聞き分けられたのは若者だけが歌う権利を持った言葉だったので、彼は必然的に自身の過ぎ去った青春時代――気づかないうちに過ぎ去ってしまった青春時代――を思い出さずにはいられなかった。》下p614

…続き
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