趣味は引用
その11 /10月15日(金)  下巻P290-375
逆光〈下〉 (トマス・ピンチョン全小説)

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《書籍商がうなずいた。「それは一五五七年にリンプン・ンガワン・ジグダグが書いた『リグパ・ジンパイ・フォニャ』、すなわち、知恵を運ぶ使者というものです」》下p337

 え。もういちど言ってもらえますか。

■ 下p375まで読んだ。なかなか進まないが、小説内の距離移動は相当だった。
 青年キットの世界大紀行。アメリカの鉱山町からイエールを経て大西洋を渡り、今日読んだとこではベニスからえんえんユーラシア大陸を東進、バイカル湖を見ていた。なぜそこまで。やや呆れつつも、ここをくぐる瞬間が大変(下p343)

■ その中央アジア行のなか、下p349で名前の出てくる呪術師が、上p218で既出だったことに、たまたま気が付いた。さらにその同じ上p218に出てくる医者も、下p214に再登場していたんだった。気付いてない再登場もたくさんあるんだろうなー。

■ ピンチョンの長篇は、伏線を後半でみんな回収してきれいにまとめ、ってつくりだったことはないはずなので、脇役の再登場は見過ごしてもいいと考えてる。車窓を飛び去っていく風景を眺めるみたいにその都度その都度楽しんでいれば、「これ前も見た!」とはわからなくてもいいんだと。

■ なので、二度出てくる人間を別個に捉えてても問題ないはずと思ってる。そのうえで、さっき書いた呪術師も医者も、作中で「分身」に関係しているのが面白かった。
 だって、同一人物を別々に捉えるのって、まるで読者が登場人物を「分身させてる」みたいだから。そういう話では・・・ないか。

■ 派手な事件も起きてたが、派手じゃない引用を。
《普段なら人の体に触れることがめったにないタンクレディが、ダリーの言葉に感謝するように彼女の肩を強くつかんだ。キットはそれを見て彼女の顔に目をやった。彼女は大きく視線をそらし、目に見えない日傘をくるくると回した。》下p294

…続き
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