2010/10/03

その3 /10月3日(日)  上巻P183-358

逆光〈上〉 (トマス・ピンチョン全小説)

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■ ついうっかり、カバー折り返しのあらすじ紹介を見ちゃって先の展開を示され「んもう」という気持になったが、びっくりするほど、わがふり直せ。
 でもじっさい読みはじめると、先に知ってたあらすじなんか3行進むうちに忘れ去るので問題ない。

■ 上巻358ページまで読んだ。これまでばらばらに出てきた人物たちが少しずつ繋がったりして、エピソードの群れをまとめる流れが何本かうっすら見えてきたようにも思う。でもそれ以上に新キャラと与太話は増殖するいっぽう。まだまだ整理されない。されてほしくない。

■ 世界中で、電磁気的情報をめぐる小競り合いがあるとか。
《それは、地球を取り囲むことが既に明らかになっていた謎の数学的格子模様の各点における場の係数を最も正確に測定し地図化しようとする国際的な競争の結果だった。》上p185

 いっそすがすがしい。

■ ・・・北極では謎の物体(隕石?それとも?)が回収されたとか。
《「人間の形をした光はおまえたちを救ってはくれない」と、それは断言したらしい。「わが子供たちよ、昔も今も炎がおまえたちの運命だ」》上p221

 めっさ面白い。もっともっと。

■ 話のばらまかれかたは『重力の虹』に似てるのかなー。でも読みやすさは段違い。もしかすると、ネタの量はずっと多いのに『V.』より読みやすいかも。『V.』が若書き(26才で出版)というのも、『逆光』のエピソードのひとつにしていいくらい、無茶な話だが。

■ アフリカ植民地とか、ダイナマイトの爆発に「意識が共鳴する」人物とか、見覚えのあるようなモチーフも果敢に再利用されている印象。
「人間を越えた存在」みたいなものとして、(1)法人・国家の類と、(2)上位生命体・太古の神、の両方を並べちゃうのがピンチョンであるよな。

■ 数学も幽霊も外交問題もぼりぼりむさぼるみたいにして語るたくましい文体は、今回は自身の過去作だけでなく、いわゆる南米作家にも似てきているような。しかも、ネタの幅でも舞台が世界を股にかける点でも、より節操がないような。(※てきとうなことをつぶやいていますよ)

■ 今日読んだとこでは、クーパーがギターを弾くシーンがよかった(上p310あたり)。ダイナマイトと父子の話でハラハラ。「別の世界」の話もオカルト交霊会も出てきたので明日も楽しみだ。
 どんなことでも「やりすぎると笑える」の手法。それでもって何を目指すんでしょう。
《盗んだ箱から一、二本のダイナマイトを取り出して爆破させた。一つ一つの爆破が、新たな説教の前置きに使う聖句のようだった。彼の思考に対する監視をますます強めるようになった、顔のない無慈悲な砂漠の予言者が、雷のような声でその聖句を使って説教をするのだ。》上p329

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