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読中日記 (15)


■ 10月15日(木)

 高校以来の友人Bからメール。彼のメールにはいつも用件しかない。
藤子F全集はどんな感じで集め始めた?
俺はとりあえずオバQとエスパー魔美。

 おそれつつ、「ド、ドラえもんとオバQを…これから買おうと思います…」と返信。返ってきたのは
見損なった

 最後に「。」も付いていない。


■ 10月17日(土)

『フロム・ヘル』の上巻を買いに行き、藤子F全集の『ドラえもん』第1巻を買って帰る。


■ 10月18日(日)

・夜、隣町の駅前を歩いていると、前方から来た女性が提げている紙袋に水木しげるの悪魔くんが描かれていた気がして思わず立ち止まる。
 見まちがいか? しかし、すぐあとに同じ方向からやってきた人も同じ紙袋を提げている。思わずあとを追い、それはどこで手に入れたのかと問いただしたくなる気持を抑えて、またまた同じものを持った人が通るのを待ち受け、その紙袋がユニクロ発であることを確認。白黒の絵が悪魔くんと鬼太郎であることも確認。ありえないツーショットなんだけど、こんどぜったい何か買ってあの紙袋に入れてもらわなくては、と決意する。見事な本末転倒。

宮沢章夫が横光利一の短篇「機械」について、12年間書き続けた連載をまとめた『時間のかかる読書』がそろそろ本屋に並ぶはず、と思って隣町の大きい書店を回ってみたけどどこにもない。あとで調べたら、発売が11月に延びたらしい。でも、11月23日(月)に「刊行記念トークライブ+サイン会」があるのを知った(@リブロ池袋店)。
 しかし、11月23日の祝日が休日ではないのもすでにわかっている。ああ悔しい。そのいっぽう、立ち読みした「文藝」の冬号には、いとうせいこうによる『時間のかかる読書』の書評がもう載っていた。
 1時間足らずで読み終わる「機械」を相手に、小説の本文をはるかに上回る量の文章を書き連ねるという宮沢章夫のふるまいを、たしか、「キトラ古墳に落書きをするのは冒涜だが、キトラ古墳を含めた土地をぜんぶ買ってしまえば、キトラ古墳の歴史に参与することになる」、みたいなたとえを使って評していた。
 これは記憶によるのでまちがっているかもしれない。というか、きっとまちがっているだろう。それなのにいまこうして書いたのは、もちろん、「キトラ古墳」と繰り返してみたかったから。キトラキトラ。


■ 10月19日(月)

 光文社の古典新訳文庫で出た、カフカ『訴訟』を読みはじめる(丘沢静也訳)。『審判』の、タイトルから変えた新訳。読んでも読んでも進まない。読了まで1週間かかる。
《「ふたつの方法には共通点がある。被告が有罪判決を受けないよう、邪魔してくれる」。「でも、本当に釈放されないよう、邪魔もしてくれる」と、Kは、そのことに気づいたことを恥じているかのように言った。「お、核心をつかみましたね」と、画家が早口で言った。》p239

 巻末の「解説」によると、カフカの草稿を友人マックス・ブロートが編集したものが最初に世に出たカフカ全集だが、ブロートの死後、より草稿に近いかたちで(なるべく編集を排して)まとめ直した「批判版全集」が作られた。さらにそのあと、草稿の書かれたノートをそのまま紙に起こして生まれたものを「史的批判版全集」というらしい。もう何がなにやら。
『訴訟』にいたっては、草稿ノートが16冊に分かれているため、「史的批判版」ではじっさいに箱入りの16分冊になっているという(さすがに古典新訳文庫は1巻にまとめている)。
 こういう状況が面白いなあ、とかいう以外のことを書こうとすると、どうしたってえんえん引用するしかない。


■ 10月23日(金)

 なんか評判らしいので、マット・ラフ『バッド・モンキーズ』を読む(文藝春秋刊、横山啓明訳)。ものすごい速さでページがめくれるので楽しい。カフカのあとだとなおさらだ。1日で読み終わる。「立派」とか言われないように駆け抜ける感じが立派。


■ 10月24日(土)

 水木しげるの悪魔くん(白黒)紙袋を目当てに隣町のユニクロへ行く。エスカレーターですれちがう人の紙袋は(1)ニャロメ (2)カラーの鬼太郎ファミリー (3)なんかカッコいいやつ、の3種類。不安がよぎる。
 安い買い物をしてレジに並び、どきどきしながら「紙袋を売っていただくことはできないでしょうか」と訊いてみる。

「無料でおつけしますけど、ご希望がございますか?」
「あの、白黒の鬼太郎を」(←悪魔くん、では通じないと考えている)
「(2人がかりで捜したあとで)ああー、あれはもうないようです」
「そうですかすみません、ほんとすみません」
「カラーのものでもよろしいでしょうか」
「はいすみません、ほんとすみません」
「…2枚おつけしましょうか?」
「いえいえけっこうです、ほんとすみません」

 われながら本当にキモい客。ユニクロの接客は世界一、と書いてみてもフォローになるだろうか。


■ 10月25日(日)

・友達に誘われ遠くのスポーツ施設。体力と引き替えに全身の痛みを手に入れた。以後、さまざまな意見の交換。「キモい」「おまえがキモい」「どっちもキモい」というやりとりを数セット。
・深夜に帰宅、水木しげる『悪魔くん千年王国』(ちくま文庫)を掘り出して読みはじめる。



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