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ぜんかいのつづき(一応)
《この作家の語り手には、あきらかに女性を裸にしたいという欲望がはたらいているようにみえる。しかしそれは、性的な誘惑によって裸にするのではなく、あくまで、まったく性的ではない状況で、その状況に強いられ、しかし女性自らの意思によって、裸になるのでなければならないらしいのだ(「三か所の二人」「コップとコッペパンとペン」「座長と道化の登場」等)。》p207

「新潮」5月号に掲載の、古谷利裕「中学生以上と小学生以下、現世と冥界――福永信論」を読んだ。
 福永信のこれまでの小説を、「中学生以上の登場するもの」と「小学生以下のもの」のふたつに分けて、それぞれの傾向をさぐっていく。
 タイトルのまんまだ。でも、この「そのまんま」感がふさわしいと思った。
 小説は小説であればいいのでテーマも物語さえも要らない、といった読みかたがただしいと考えてはいても、それこそテーマも物語も蒸発している福永信みたいな小説を読むと、とっかかりがなさ過ぎて不安になってしまう、そんな私のような読者にとって、古谷利裕の書きかたはひとつのお手本みたいなものだ。とっかかりもなにも、目の前の小説を読むのである。
 こないだ『アクロバット前夜』を読んで、語り手の複数化みたいなことを私はぼんやり考えていたのだが、これについては《とはいえ、「語る私」の多重化という主題は、作品形式に自覚的な作家の作品にはありふれており、この作家に固有のものとは言えない。》とあった(p204)。そうか。
 
 取りあげられている福永信の作品のうち、いちばん読みたいと思ったのは「座長と道化の登場」で、これは、試着室の中に入った女性が外で待つ男性に「別れたい」との手紙を渡し、そこに立てこもって出てこなくなる(出てこられなくなる)という小説らしいのだが、実物を読むには図書館に行って掲載誌のバックナンバーをあたるしかなさそうだぞ――と思っていたら、この短篇、『コップとコッペパンとペン』にちゃんと収録されている、ということはすでに私はそれを読んでいる、とあとから気がついた。
 小説の読みかたがどうこう以前に心配することがあるのではないか。
《だがしかし、裸であることによって動きを奪われた存在は、ただ受動的に窮地に追い込まれて困惑しているだけではない。むしろ、この作家の「中学生以上」の系列の作品では、裸で身動き出来なくなった者だけが、視線の一方通行生を破り、相手と対面し、相手と直に触れ合い、形勢を逆転させることに成功する可能性をもつ。》p209


■ もう何年も前の、福永信の文章を見つけた。小説ではない。「log osaka web magazine」という、たぶん芸術関係(アート関係?)のサイトでの連載。
まだ(3)までしか読んでないけど、面白いので貼ってしまう。私も「珍しいキノコ舞踏団」を見てみたい。

福永信の「全地球人に告ぐ」
(1) http://www.log-osaka.jp/movement/vol.1/fukunaga/fuku_vol1.html
(2) http://www.log-osaka.jp/movement/vol.2/fukunaga/fuku_vol2.html
(3) http://www.log-osaka.jp/movement/vol.3/fukunaga/fuku_vol3.html
(4) http://www.log-osaka.jp/movement/vol.4/fukunaga/fuku_vol4.html
(5) http://www.log-osaka.jp/movement/vol.5/fukunaga/fuku.html
(6) http://www.log-osaka.jp/movement/vol.6/fukunaga/fuku.html
(7) http://www.log-osaka.jp/movement/vol.7/fukunaga/fuku.html
(8) http://www.log-osaka.jp/movement/vol.8/fukunaga/fuku.html
(9) http://www.log-osaka.jp/movement/vol.9/fukunaga/fuku.html
(9.9) http://www.log-osaka.jp/people/fieldtrips/hello/backnumber/zen9_9.html



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