2008/10/14

先週から


「内田樹の研究室」を読んでいたら、先週のノーベル文学賞がらみの記事があった→「ノーベル文学賞の日」2008.10.09
 内田樹は、今年も「村上春樹ノーベル文学賞受賞のコメント」の予定稿を書いたという。
「もし受賞したとして」という原稿を、3年にわたって求められ、引き受けて書き続けているという営為は、なんか面白いと思った。ほかで見たことがない。無償の愛、みたいな。ちがうか。ちがわない。
『村上春樹にご用心』(2007)も、受賞したとの仮定に乗った祝辞で始まっており、そんな本は見たことがなかった。あれ以上のつかみはなかなかないと思う。ところで、
《追記・残念ながら、村上春樹さんのノーベル文学賞受賞はなく、ル・クレジオが受賞することになった。
電話をかけてきた某新聞社の記者は「ル・クレジオって、ご存じですか?」と訊いてきた。まわりにいた記者たちの誰も名前を知らなかったそうである・・・
かわいそうなル・クレジオ。
1970年には大学生たちのアイドルだったのに。》

 うちにも、古本屋で見つけた絶版本が2、3冊あるけど、読んでなかった(どうせ復刊されるんだと思う)。近所の古本屋の棚には、常時、5冊くらい置いてあって移動がない。かわいそうなル・クレジオ。

■ それでル・クレジオを読んだかというとそうではなく、日曜日はアドルフォ・ビオイ=カサーレス『モレルの発明』を読んでいた。これがめちゃめちゃ面白い。冒頭から引き込まれ、それでもちょっと斜に構えて読んでいったのに、次第にそれどころではなくなった。興奮のうちに読了。まだ冷めない。
 で、本の中身もすごかったんだけど、同様に「うわあ」と思ったのは、この本を買ったのは何年前だろうということで、おそらく私はこの古本(出版社名は「水声社」の前身の「書肆風の薔薇」になっている)を、少なくとも10年前に買っている。ずっと積んだままだった。きのう手に取ってほこりを払い、読んでみたら、たいへんな小説だった。
 それであらためて、本って「待ってくれる」んだなあと思われたことである。だから、ル・クレジオもいつか読む。
 
■ で、そのとんでもない『モレルの発明』、もしや絶版なんだろうかと思ってamazonで見てみたら、この10月に新装版が出ていたのでのけぞった。
 これ。
    →『モレルの発明 第2版 (フィクションの楽しみ)』

 ぜひとも読まれたい。ほんとおすすめ。人にこんなにすすめたくなるのは、『ディフェンス』『ペドロ・パラモ』以来、というレベルでのおすすめ。見苦しいほどすすめたい。

■ うえで書いた近所の古本屋に行くと、ル・クレジオは1冊もなくなっていた。読んだことないけど、おめでとうル・クレジオ。

コメント

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ル・クレジオはまだ60代!

doodlingさん、再びこんばんわ。お邪魔致します。
モレル、反射的にカートに放り込ませていただきましたよ。えぇ、面白いものはなりふりかまわずすすめて下さい(笑)。
ル・クレジオって『調書』と『海を見た少年』(でしたっけ?)の間には恐ろしい溝がありますよね。私はあれを飛び越すことができず、「物質的恍惚」を未読放置したままかなり経ちました。せめてこれを片付けて、次を読むならやはり古い所で「発熱」などどうかなと見繕ってるんですが。凄まじい歯痛が出て来るのだとか?歯には自信がないんです、耐えられるかな。しかしルクレ氏の本はこれを持って読みやすい組版で文庫で、なんてことが実現するでしょうか。どうも懐疑的。

どうもです

> ル・クレジオって『調書』と『海を見た少年』(でしたっけ?)の間には
> 恐ろしい溝がありますよね。私はあれを飛び越すことができず、

あ、そうなんですか。うちにある未読本が、その2冊です。
後者は『海を見たことがなかった少年』だと思いますが、私はあれを何年か前、図書館の廃棄本から頂きました。
「何年か前」が「今年」だったら、いまうちの部屋にはないだろうにと思いました。

> 凄まじい歯痛が出て来るのだとか?歯には自信がないんです、耐えられるかな。

「凄まじい歯車」が出てくる話なら、むしろ好みなんですが。
大江健三郎の小説で、歯痛のあまり自分で抜歯してしまう話がたしかあり、フランス風の人は歯医者が嫌いなのかもしれません。嘘を書きました。

歯ネタ

ふたたびこんばんわ。
りゃりゃ、「‥ことがなかった少年」でしたか。私ウロ覚え大臣ですので大目に見てやって下さい。
歯ネタならナボコフの『プニン』にもありますよ。尤もこちらは入れ歯ネタですが。
ナボと申せば、頑張って今『ヨーロッパ文学講義』を読んでます。すこぶるつきで面白いけど、これだけナボ先生が教えてくれても私には実践は無理じゃないかと思い始めてます。