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その13 ― ピンチョン Lot 49
The Crying of Lot 49 (Perennial Classics)

前回…] [目次


 第2章に入る前に、第1章が終わった時点での人物表を:

 ● エディパ・マース Oedipa Maas:
    主人公。カリフォルニアの主婦。神経症の気がある。
 ● ムーチョ・マース Mucho Maas:
    エディパの夫。本名はウェンデル。いまはDJ。
    以前勤めていた中古車販売店にトラウマをもつ。神経過敏。
 ● ピアス・インヴェラリティ Pierce Inverarity:
    死んだ大実業家。かつてエディパと付き合っており、
    遺書でなぜか彼女に遺産の処理を任せる。
 ● ヒレリアス Dr Hilarius:
    エディパのかかっている精神分析医。エキセントリック。
 ● ローズマン Roseman:
    弁護士。脇役らしい脇役。なにしろもう出てこない。

 ついでに、ここらで作中の時間を整理してみたい。

 Lot 49 が今あるかたちで発表されたのは1966年だから、作中の「現在」はそれより前だと考えられる。この小説が時間を未来に設定する理由はない。
 では正確にはいつなのか。
 季節は夏と書いてあるが、小説の中にはっきり「いまは19XX年」という記述はない。以前紹介した注釈本Companion を一通り読んでみても、年代を特定する注はなかったと思う。
 なのでまた志村氏の「解注」を受け売りする(そればっかり)と、

 ■ 小説の中盤でちょっとだけ言及される、FSMという学生の政治運動組織

 これを根拠に志村氏は、舞台を1965年の夏としている(単行本版でp276、文庫版でp306)。
 1964年10月に設立されたFSM(Free Speech Movement、こういうところみたい)が、作中では「すでにあるもの」として触れられるため、「現在」は少なくともその翌年以降と考えられるからである。

 すると、エディパが回想するバロ展はいつなのだろう。

 メキシコでバロ展が開かれたのは1962年と1964年だと解注にある。バロについての詳細な年譜を調べても、これ以前の開催は1956年だけだし、これ以降は1971年になってしまうジャネット・A・カプラン『レメディオス・バロ 予期せぬさすらい』リブロポート、1992。三部作の完成は1962年だから、同年の個展にも出品できたかもしれない。

(まだ続きます。なお、三部作の完成、すなわち三作目の「逃亡」が描かれた年を、1961年としている本もあった。どっち?)
…続き


レメディオス・バロ―予期せぬさすらい
ジャネット・A. カプラン
リブロポート
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