趣味は引用
帰京
■ 帰ってきた。月曜よりも2㎏増えた。実家のほうが涼しかった/暑かった、みたいな言い方をしがちだけど、そのあいだの東京の気温を体験してないんだから意味がないと思った。
 
■ 実家の本箱から発掘した、岩波文庫の中島敦『山月記・李陵』を帰りの電車のなかで読んでいた。この文庫本に入っている短篇、「悟浄歎異」が「モンキービジネス」第2号に掲載されていたのを読んで、むしょうに読み返したくなったので。
 この本、正確に高校2年の夏(ちょうど今ごろ)に読んだ、と思い出せるのは、もともと、その年の1学期に現国の教科書で「山月記」を読んで本屋に行ったからだった。素直な学生!
 こういうことをいちいちおぼえているのもどうかと思う。
 そのくせ、ほとんど記憶になかった「名人」という短篇も、再読したら面白かった。紀昌という男が弓の名人になろうと志し、当代一の名手・飛衛の門をたたく。
《飛衛は新入の門人に、まず瞬きせざることを学べと命じた。紀昌は家に帰り、妻の機織台の下に潜り込んで、其処に仰向けにひっくり返った。眼とすれすれに機躡[まねき]が忙しく上下往来するのをじっと瞬かずに見詰めていようという工夫である。理由を知らない妻は大いに驚いた。第一、妙な姿勢を妙な角度から良人に覗かれては困るという。厭がる妻を紀昌は叱りつけて、無理に機を織り続けさせた。》p102

 こういうところをいちいち書き写すのもどうかと思う。

■ 好きで読んでいるブログ「空中キャンプ」の人が、わりと最近になって、岸本佐知子のエッセイをほめにほめている。
 これ(→2008-06-03)とか、これ(→2008-08-13)とか、ほかにもいろいろ。めろめろになっている。そのめろめろ具合はすごくよくわかる。
 とくに、このエントリ(→2008-08-07)にあった、
こんなにわけのわからないエッセイが書ける人は、日本にふたり、宮沢章夫さんと岸本さんだけである。

 これには「だよね!そうだよね!」と思わず興奮した。出された感想に全力で相づちを打ちたくなる、という興奮には格別なものがあると思う。めろめろになっているのは私か。

■ もうずいぶん前、はじめて「空中キャンプ」を読んだとき思ったのは、「この人はぜったい宮沢章夫のファンだ」ということだった。宮沢章夫の読者には、“文章まで似てくる”人が一定数存在する。面白い。
 ついでに書けば、どういう人かまだよく知らないころに岸本佐知子のウェブ日記(@白水社)を見たときには、「この人はぜったい筒井康隆のファンだ」と思った。それが事実なのはあとで知れたんだけど、ほとんど見た瞬間にわかったのである。ああいう直感はどこから来るのか――って、「文章から来る」のに決まっているのだが。ある意味おそろしいことである。
 あといちおう、いぜん書いた感想(→『ねにもつタイプ』)。
 
■ 岸本佐知子御大のエッセイは、ここで1本読めます。
  →「みんなの名前」(@筑摩書房特設サイト)

■ ネットにつないで、よく見るところの更新4日分をチェックして回ると、30分くらいで済んでしまった。すると、私は毎日、何にあれほどの時間を費やしているのだろう。
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