趣味は引用
「ガルガンチュワとパンタグリュエル」を読んでみる その71

[前回…]

 ケルアックの『オン・ザ・ロード』は不思議な小説であったよ。一気に読むのがふさわしいのかもしれないが、毎日少しずつ読んでも面白い。作中で繰り返される「いいね!いいね!」は口癖にしてみたい。

 パンタグリュエルも進撃のオン・ザ・ロードだった。敵・乾喉軍は、不破見人の都を攻めている。そこへ救援に向かうパンタグリュエル一行は、どういうわけか、二百三十七樽もの白葡萄酒を持っていく。そして「どういうわけか」も何も、景気付けのようにわいわい騒いでぜんぶ飲む。
 なんだそれ、と思っていると、家来のカルパランがひとり城壁を越え、前々回から酔い潰れたままである敵の火薬に火を放った。さらには、火攻めだけでは足りないとばかりに、利尿剤の助けを借りたパンタグリュエルが「敵陣めがけて滔々と流しこ」む。
(ここでさっきの白葡萄酒の役割がわかるのだが、飲んだのはすぐに放出するためであり、何だろう、水攻めなのにマッチポンプである)
《敵兵どもは、眼を醒ましてみると、一ぽうでは陣屋は猛火に包まれているし、他ほうでは尿の大洪水大氾濫に見舞われているという有様なので、何と言ってよいのか何と考えてよいのか全く判らなくなった。何人かの者は、この世の終りであり最後の審判の時がきた以上は、劫火に焼かれねばならぬのだと言ったし、他の者どもは、自分らはネプトゥヌスやプロテウスやトリトンのごとき海原の神々の迫害を蒙っているのだ、その証拠には、この水は海の水で塩辛いと言った。》第28章 p203

 慌てて砦から王である混乱麿[アナルク]を運び出してきたのは、敵の側にもいた巨人の三百人。リーダーはその名も人狼[ルウ・ガルウ]。こういっちゃ何だが、混乱麿[アナルク]よりよほど強そうである。いよいよ今度こそ戦いの火蓋が切って落とされるのにあたって、この物語の語り手も心を引き締め、詩神に祈りをあげるのだった。
 一方、パニュルジュその他の家来は、敵兵をみんな誘って酒宴を開き、“パンタグリュエル vs 人狼”の一騎討ちを見守る構え。ちなみに混乱麿王もそこで一緒に飲んでいる。いいね!いいね!(やけくそ)

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