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2004/04/01

その4 ― ピンチョン Lot 49

競売ナンバー49の叫び

前回…] [目次


 電話をかけてきたのはエディパのかかっている精神分析医、ドクター・ヒレリアスだった。かかりつけの弁護士にかかりつけの精神分析医。たいそうなことである。
 専業主婦に向かって午前3時に「起こしてしまったんではなかろうね」とのたまうこの医者は無茶な男で、LSDやメスカリンなどのドラッグを郊外の主婦に投与して効能を調べる、通称「橋計画― die Brücke」(内面への橋)なる実験を行っており、エディパをその104番目の実験台として欲している。どうして自分でなくてはいけないのか、彼女は訊けない。答えを聞くのが怖いのだ。
“I am having a hallucination now, I don't need drugs for that.” (p8)

《「こっちはいま幻覚のまっさいちゅうよ、そのための薬なんかお断り」》 p18/p20

 ということでエディパはドラッグを拒む。断じて手を出さない。精神安定剤として処方された薬も飲まないほどこの医者を信用していないのに、それでも通院を続けないわけにはいかないのが現在の彼女の状況であるらしい。
 以下は診察の折りに交わされた会話の回想。
She didn't want to get hooked in any way, she'd told him that.
“So,”he shrugged, “on me you are not hooked? Leave then. You're cured.”
She didn't leave. Not that the shrink held any dark power over her. But it was easier to stay. Who'd know the day she was cured?

《どんな形にせよ麻薬のとりこになりたくない、それは彼に言ったことがある。
 「そうかい」と彼は肩をすくめ「私のとりこになっていないってわけだね。じゃ出て行きなさい。きみは治ったんだから」
 彼女は出て行かなかった。医者の魔力のとりこになっているわけではない。が、このままでいるほうが楽なのだ。いつ治るかなんて、だれにわかるものか?》

 このとき、エディパの話を聞いてヒレリアスはmade a faceする。
 "make a face"は「顔をしかめる」という慣用句だが、彼の場合は字義通り、自分の百面相によって患者の治療を行うこともあるという説明が続く。なんだそれは。

…続き

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