2007/10/27

「ガルガンチュワとパンタグリュエル」を読んでみる その62


[前回…]

 そういや私がロリータ本に浮かれていたころ青山ブックセンターでは「内田樹+柴田元幸トークショー」が行なわれていたのだった。行けた人の書いた詳しいレポートとか見つけた方は、教えていただけるとうれしい。

 『パンタグリュエル物語』の続き。
 どこだかよくわからないが、とにかく祖国のほうで乾喉人が悪さをしていると聞いたパンタグリュエルは、家来とともに大急ぎでパリを発った。
 早く帰ればいいのに余談がはさまる。お題は、「どうしてフランスの里程基準は他国のより短いのか」。答えるのはまたパニュルジュ。
 ――そもそも里程基準がまだなかった大昔、フランク族の王がはじめて測量を思い立つ。パリの町から若くて元気な男を百人と、美しい娘を百人用意して、百組のカップルを作ってからこう命令した。
《つまり、一同は、東へ西へ南へ北へと旅立つことにいたし、道々相手の娘と騎馬遊びをした場所に石を一つ置かねばならぬが、それを一里の標識と定めることにしよう、と。
 こういうしだいで、一同は欣び勇んで出発いたしましたが、何しろぴんぴんして居ります上に、何もすることもございませんので、ちょっと野原を歩くとすぐにふざけあうしまつとなり、こういうわけで、フランスの里程基準は実に短くなっているのでございますよ。》第23章 p173

 もちろん「騎馬遊び」がErotica verba であるわけで、例によって壮大なのとくだらないのとが両立している。(いや、しているのか?)
《しかし、一同が長い旅路の果てにまいりました時には、もはや哀れな悪魔のように疲れ切って居り、御燈明皿の油ももはや尽きはてていましたので、そうしげしげと騎馬遊びもいたさず、一日に一回、もそもそぼそぼそとやるだけで、すっかり御満腹という有様になりました。(もっとも、これは男のほうがという意味でございますがね。)この結果、ブルターニュ、ランド、ドイツ、その他のもっと遠い国々で用いられる里程基準は、あんなにも長くなっているのでございますよ。》(同)

「くだらねえなあ」と思いつつ、「しかしこの、むりやり筋を通す意志の強さは立派かもしれない」と考え直し、「それはつまり、ほんとにくだらなくあるには体力がいるということか」といつものようにうやむやになっていくのだが、そういえば、当時のフランスの度量衡が実際どんなものだったのかを私は知らない。
 たしかメートル法を作ったのはこの国だったはずだが、それはフランス革命のころ。ラブレーがこれを書いていたのは16世紀の前半だ。いままでにも長さ、面積、重さについて見慣れない単位がたくさん出てきた(間[トワーズ]とか尺[パン]とか)のだけど、それらは毎回、無茶苦茶な数字と組み合わせてパンタグリュエルの大きさを表現するために使われるので、単位自体は台無しにされていた。
 度量衡の歴史について何か見つからないものかとググっていたら、こういうものはいくつもあったが当座の役には立たない。

 度量衡換算
 http://hp.vector.co.jp/authors/VA018451/javascript/jdoryoko.htm

 度量衡換算表
 http://homepage1.nifty.com/~petronius/kana/doryaukau.html

 度量衡 換算表 (みんなの知識【ちょっと便利帳】)
 http://www.benricho.org/doryoko/hyo.html

 ○メートルが何海里になるのか大急ぎで調べないといけないような事態が自分の身に降りかからないよう願うばかりだ。
 しかしこういうのってどうしてメモっておきたくなるんだろう。“みんなの知識”の“みんな”って誰だ。そして“ちょっと便利”。「お客様のなかに、ヤード→町の変換ができる方はいらっしゃいませんか?」みたいな状況を空想する。
 そのうえ、こんな本を見つけてしまって悶えた。

万物の尺度を求めて―メートル法を定めた子午線大計測万物の尺度を求めて―メートル法を定めた子午線大計測
(2006/03/23)
ケン オールダー

商品詳細を見る


 ストレートなタイトルがいい。表紙もいい。でもちょっと高い。
 とりあえず『パンタグリュエル物語』の続きを読む。

コメント

非公開コメント

ヤードはさておき。

現在の職場では「畝」とか「反」とか「町」とかでみんなが話しており会議で「1反だとちょっと狭いよなあ」みたいな発言を聞いて終わってからセンパイに1反てどんぐらいスかとこっそり聞いたところ「10aだね」いやすみません1aがどんぐらいか全然わかんねッスと回答すると向こうにも困られてしまった自分みたいな人間には"ちょっと便利"なのかもしれません

度量衡って強そう

「町」は距離にも面積にもある

>じゅん&こくどの両氏

貼るだけ貼ったリンク先さえよく読んでいなかった私の視界は、お2人のおかげで3畝ばかり広がりました。「畝」は「せ」と読むことも知りませんでした。
どうもです。