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2004/04/01

その1 ― ピンチョン Lot 49 (1966)

The Crying of Lot 49 (Perennial Classics)

前回…] [目次

 One summer afternoon Mrs Oedipa Maas came home from a Tupperware party whose hostess had put perhaps too much kirsch in the fondue to find that she, Oedipa, had been named executor, or she supposed executrix, of the estate of one Pierce Inverarity, a California real estate mogul who had once lost two million dollars in his spare time but still had assets numerous and tangled enough to make the job of sorting it all out more than honorary. (p1)

 これが冒頭の一文である。
 たいへん長いのは最初だから気合が入っているためで、以後もずっとこんな調子で続くわけではない。
《ある夏の日の午後、エディパ・マース夫人はタッパーウェア製品宣伝のためのホーム・パーティから帰って来たが、そのパーティのホステスがいささかフォンデュ料理にキルシュ酒を入れすぎたのではなかったかと思われた。家に帰ってみると自分――エディパ――が、カリフォルニア州不動産業界の大立者ピアス・インヴェラリティという男の遺言執行人に指名されたという通知が来ていた。死んだピアスは暇なときの道楽に二百万ドルをすってしまったこともあるような男だが、それでもなお遺産はおびただしい量で、錯綜しているものだから、そのすべてを整理するとなればとても名義だけの執行人というわけにはいくまい。》p7/p8

 アメリカの西海岸で平凡な家庭生活を送っているエディパ・マースは、結婚前の一時期、ピアス・インヴェラリティという大富豪と付き合っていたことがある。関係が切れてからこれまで連絡は1回きり(しかも意味不明なイタズラ電話)だったのに、それが突然、遺言の執行人に指名されるというかたちでこの男とのつながりがよみがえる。
 死んだ男によって召還される主人公。一方的に課された任務は、「錯綜している」遺産の「すべてを整理する(sort it all out)」こと。
 エディパ(Oedipa)の名前がオイディプス(Oedipus)から採ってあるのは明らかで、オイディプスといえば「謎を解こうとする主人公」のプロトタイプなんだそうである。これに限らず、この小説に出てくる人名はほとんどが作りものくさい、現実にはまずありえない名前だと言われている。つまりこれは「お話」なのだ。
 主人公当人には寝耳に水ながら、こうしてLot 49 は探求物語のようにして幕を開けた。

…続き

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