2007/05/25

カラスヤサトシ


 本屋に行ったら、カラスヤサトシの漫画『カラスヤサトシ』の第2巻が出ているのに気づき、慌てて買う。発売から1ヶ月。危ないところだった。

カラスヤサトシ 2 (2) (アフタヌーンKC)カラスヤサトシ 2 (2) (アフタヌーンKC)
(2007/04/23)
カラスヤ サトシ

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 これは「アフタヌーン」の読者投稿ページの隅に連載されている4コマを集めたものだそうで、基本的に作者自身の日常・回想・妄想をネタにして毎回のお題に答えるかたちになっているのだが、作者がおのれの言動を容赦なく見つめた結果としてあらわにされた自意識の有象無象が、じつは相当程度こちらにも当てはまるものであることを私なんかは認めざるをえず、しかしどこかの一線で、この作者はこちらの共感をまったく受けつけない高みにまで駆け上がってしまう。残るのは、おれはいまなにかすごいものを見た、という気持。置いていかれた感を覚えると同時に、置いていかれてよかったという気にもさせられるのが正直なところだ。
 だから本当は順序が逆で、こちらの理解など届かない感性の持ち主が、ときどきこちらに“下りてきて”笑いを提供してくれる、というのが正しい構図である気がする(おそらく作者は、この「わかるわかる」と「それはない」の使い分けが自在には出来ておらず、そこがいちばん面白い)。
 描かれているネタのどれひとつについても共感できない人には、この漫画はまるで面白くないだろう。一方で、ぜんぶを理解できるのはこの世界で作者一人しかいないにちがいない。すべての読者はこの両極のあいだのどこかに位置しているのだろうが、単純に作者に近ければ近いほど面白がれる、とは言い切れない気もするのがこの漫画の業の深さであると思う。
 漫画って引用がしにくいから困ると思っていたら、第1巻が出た際のスズキトモユ氏による紹介を見つけた。ここに載っている4コマの、左側のやつが私はほんとうにすごいと思う。

 私はこれの第1巻を、友達から「ほかに薦める人が思いつかなかったので」的な理由で薦められ、読んでみたら思わず堪能してしまい、やはり「ほかに薦める人が思いつかなかったので」ある友達に薦めた。すると彼のところには、すでに別の知り合いから「カラスヤ面白いですよ」とのお薦めがあったそうで、なんだか世間は狭い気がしてならなかった。世間というか、私の世間は。

カラスヤサトシ (アフタヌーンKC (425))カラスヤサトシ (アフタヌーンKC (425))
(2006/08/23)
カラスヤ サトシ

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 何度となく読み返しているうちに、私はこの第1巻に登場する名台詞の数かずを暗記してしまったので、それを思い出すだけで漫画が手許になくても自動的に絵まで浮かんでじゅうぶん楽しめるようになった。
 第2巻では一部取材漫画などあるものの、相変わらずの作風で、こちらの琴線をわしづかみにするフレーズは枚挙にいとまがない。せっかくなのでメモしておくが、なんのためのメモなのかは訊かないでおいてもらいたい。そんなの、「気がついたらメモっていた」しかないじゃないか。

「学校行け!学校!!」「これは…カステラですね?」「いや…だって…そんなわけないから…」「甘やかしてくれってことですか?」「カレー史に残る名言」「え?なあに?」「すみませんちょっと黙っててもらえますか?」「かっこいい聖飢魔Ⅱのイメージに あわない」「未来の嫁」「彼はもう一人の自分と闘っているのだ!」「貴婦人メガネの完成」「ベースギターにネルシャツ」「そのピアス僕にください!!」「AVコーナーでモテようとしてんの?」「これはおじいちゃんが29のとき…」「かっこよすぎ」「ゲッ…これは…鬼○郎結び…!!」「くくられてるやんか!!」「はいあなた!! 時空をこえて!!」「うわーん…ずっと一番やったのにー…」「BB弾のお兄ちゃんやー」「毎晩やってるうちに思わず知らずストーリーが長くなってしまい」「姿も見えないんだったら入り放題ですもんね」「オレの話テキトーに聞き流してるみたーい」「江古田ちゃんへの愛憎」「ライブ感覚やーっ」「ガシャポン経済界と日本のリアル経済界が」

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