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2006/09/18

「ガルガンチュワとパンタグリュエル」を読んでみる  その44


[前回…]

 ジャン修道士。フルネームはジャン・デ・ザントーム。第27章での初登場から戦争の終わりまで、獅子奮迅というか鬼神のような戦いっぷりで敵兵を山ほど虐殺してきた男。この功労者にガルガンチュワは、最大級の褒美で報いようとする。まず、彼のいる修道院の院長にしてあげようとするが、ジャンはこれを拒絶する。ほかの有名な修道院の院長職も固辞。
《 ――なぜかと申しますに、(と彼は言った、)己が身のことすら取り締まれませぬ拙者に、どうして他人様を取り締まれましょうかい? もし、今までの拙者めの勤めぶりが殿の御意に適ったといたし、また将来も、その見込みがあると思召されるならば、拙者の考案通りの修道院を一つ、建立いたすことを御聴許下さりませ。》第52章 pp230-1

 この申し出をガルガンチュワは気に入って、テレーム国という領土のすべてを提供する。そこでジャン修道士は自分のプランを開陳するのだが、基本コンセプトは「他の一切の僧院とは裏腹な修道院」だった。具体的にはこんなもの。

 ・塀で囲まない
 ・時計をいっさい備え付けない(「この世で何が一番阿呆だと申して、良識や悟性の言いつけに従わずに鐘の音をたよりに、我が身を取り締まることくらい阿呆なことはない」)
 ・従来の修道院に入れられたのは心身になんらかの欠陥のある男女なので、この修道院に入れるのは「眉目形も優れ、姿も美しく、心様も秀でた女性、及び眉目は秀麗、体軀も整い、気立ての良い男性」に限定する

 このように難解なルールも定められた。
《今までの尼僧院へは、男子は人目を盗んでこっそりとはいるより外に仕方がなかったのであるから、本修道院では、男がいない場合には断じて女もいてはならず、女がいない場合には断じて男もいてはならない》p232

 まだある。

 ・この修道院に入った者は、いつでも好きなときに出ていってよい
 ・修道院内での婚姻、蓄財は自由
 ・適格年齢は女が10-15歳、男が12-18歳

 いま『ガルガンチュワ物語』は第52章まできたが、このテレームの僧院についての叙述はラストの58章まで続き、それでこの巻は完結するのだから、相当重要な部分であるらしい。パラパラめくってみると、まず次の第53章では修道院の設計が詳細に記され、54章ではその正門にかけられた銘文、55章ではひき続き院内の設備の様子…… といった具合。訳註でもこんな紹介がされている。
《[…]この「テレームの僧院」の数章に亙る記述は、本書の巻末を飾るものであり、そこには、ラブレーのユートピヤとでも呼んでもよいものが現れている。ややくだくだしい感を与える数章もあるし、中世文学の或る種類の作品のもじりになっている点もあるが、全体として、独立した「作品」となって居り、これまでの「物語」とは調子も異なっている。》p368

 訳者自身が「ややくだくだしい感を与える」と書くのだから、実際には「たいへんくだくだしい感を与える」のじゃないかと予想されるが、くだくだしいのは嫌いじゃないのでもう数日読んでみる。

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