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2006/08/16

帰京

《「ください、ぜひください」と云いました。「私の妻としてぜひください」と云いました。奥さんは年を取っているだけに、私よりもずっと落ち付いていました。「上げてもいいが、あんまり急じゃありませんか」と聞くのです。私が「急に貰いたいのだ」とすぐ答えたら笑い出しました。》

 帰ってきた。帰京ラッシュのピークである今日(テレビのニュースでそういってた)のこの日に朝5時から架線故障を起こしてもう何時間遅れだか駅員にもわからないくらいぐちゃぐちゃにダイヤの乱れたJR東日本を私はちっとも恨んでなんかいない。
 そもそも11日、帰省するのに乗った特急が予想通りぜんぜん座れないので終点までデッキで過ごした。そのあいだずっと、ちくま文庫の全集本で夏目漱石の「こころ」を読んでいた。正月に帰省した際はじめて読んだ「行人」とはちがって、これは再読。しかし前に読んだのは中学生のときだったから、そのころには読み流していたことに今回は思い至る。たいしたことではない。「こころ」は帰省小説だった。以上終わり。併録されていた「道草」も実家で読んだ。漱石はなんであんなに読みやすいんだろう。文章のつくりがどこかおかしくて、そのおかしさを私が“読みやすさ”と解しているんじゃないかと思うがよくわからない。また適当なことを書いた。年末にまた実家へ帰るので、いよいよ「明暗」を読もう。いや、来週とか読んでそうだが。
 そういえば奥泉光は、いとうせいこうとの対談(漫談)で、自分が小説を書いている途中で、それこそ漱石を読んでしまったときにメラメラと燃えあがる感情について力説していた。
奥泉 結局一種の嫉妬なんですよ、いい小説に対する。漱石なんて、第一章の「一」って書いてあるでしょう、その「一」だけで嫉妬する。
いとう そこには嫉妬しなくていいです。「一」なんだから。
奥泉 漱石だと「一」の雰囲気が馬鹿にいいように思っちゃうんですよ[…]
いとう 「冗談じゃない」と。》



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