2006/08/09

「ガルガンチュワとパンタグリュエル」を読んでみる  その37


[前回…]

 具体的な前回(その29)までのあらすじ
 隣国レルネ(ピクロコル王)と戦争状態に入った祖国「乾喉国」に、ガルガンチュワが戻ってきたよ。以上。

 ガルガンチュワ一行を迎えて、城のものたちはみんなで大宴会を開く。例によって「牡牛が一六頭」だの「雛鶏と鳩とが各々六千羽」だの「小兎が一千四百匹」だの壮大な食卓で、食べ物の説明は12行に及ぶ。この第37章でガルガンチュワの母ガルガメルが死んだことを、私はいつまで憶えていられるだろう。
 で、ガルガンチュワの食欲であるが、喉の渇いたこの巨人は、サラダでもないかと思って萵苣[ちさ]をどっさり摘んでくる。「萵苣」。すごい字である。大きくしてみよう。

 萵苣[ちさ]

 しかし意味は「レタス」だった。問題は、この萵苣の中に巡礼の男6人が潜んでいたことである。彼らは敵兵をおそれて畑の陰に隠れていたのだが、そのせいで巻き込まれたこの災難に際し、ここで声を出したら密偵だと思われ殺されてしまうと考え詰めて、にっちもさっちも行かなくなっていたのだった。そんなこととはつゆ知らないガルガンチュワは、葡萄酒と一緒に6人を口のなかに入れる。
《こうやって呑みこまれた巡礼たちは、一所懸命になって、ガルガンチュワの歯の臼に挽かれまいとして逃げまわっていたが、まるで、どこかの牢獄の土窖[あなぐら]にでも放り込まれてしまったような気持だったのであり、ガルガンチュワがぐびりと酒を飲んだ時には、その口腔のなかで溺死するのではないかと思ったし、酒の奔流に流されて、すんでのところで胃の腑の奈落へ墜ちかけるという有様であった。》第38章 p179

 ガルガンチュワの大きさを強調するために登場させられたにちがいない小さな者たちが必死で右往左往する姿は、6人には悪いが、ちょっと笑える。
《そのうちの一人が、もう大丈夫かと、杖で足もとを探ってみた時、齲歯[むしば]の孔をこっぴどく叩いてしまい下顎神経を突っついたので、ガルガンチュワは滅法界な痛みを覚え、襲いかかる劇痛に怒号し始めた。》

 はい、またすごい字。

 齲歯[むしば]

 これによって6人は、妻楊枝でほじくり出され、命からがら外へ出る。

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