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「ガルガンチュワとパンタグリュエル」を読んでみる  その33

[前回…]

 今日も『ガルガンチュワ物語』ではなくて、ドストエーフスキイ『未成年』を読んでいた。中巻が終わったので、あとは下巻1冊。今週中には読み終えたい。全3冊のうち下巻がいちばん厚いんだけど。
《「自分の首を肩にのせてあるくのが苦しくなったら、夜ニコラエフスキイ鉄道の線路へ出かけて行って、レールの上に頭をのっけるがいいさ。そうすれば造作なく首をちょん切ってくれるから! だけど、お前さんは、なんだっておしゃべりをしたんだろう? なんだってあの人をからかう気になったんだね! 自慢でもしたくなったの?」
 「でも、まあ、なんという憎しみだろう! なんという憎しみだろう!」とわたしは思わず自分で自分の頭をたたいた。「いったいなんのためだろう、なんのためだろう? しかも、女に向かって! カチェリーナさんがぜんたいどんなことをしたというのだろう? こんな手紙を書くなんて、あの二人の関係はどんなふうだったんだろう?」
 「にーくーしーみ!」はげしい嘲笑を声に響かせながら、タチヤーナ叔母はわたしの口真似をした。
 血がまたもやさっとわたしの顔にのぼった。》中巻 pp257-8

 人は果たして、“嘲笑を声に響かせながら”発話することができるのだろうか。かなり難しいと思う。しかし文字の上でなら可能なのである。「にーくーしーみ!」。むしろ、この書き方から“嘲笑”を読み取るほうがより難しい気もするが。私もこんなやり方で他人の揚げ足をとってみたい、そのような誘惑に駆られた。きっとけんかになるだろうな。そうしたら、怒りだした相手にむかって最初に言う台詞は決まっている。「威張らんでください」。誰だ。

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