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「ガルガンチュワとパンタグリュエル」を読んでみる  その27

[前回分…]

 またけったいな人物が登場する。
 急遽帰国の途についたガルガンチュワとその家臣たち一行は、道の途中で情報を仕入れ、まず古くからの友好国に潜り込み、そこからピクロコル軍の様子を探る偵察を出すことにした。そこで手を挙げたのがジムナストという男。彼が敵陣の方に向かうと、さっそく、略奪行為の真っ最中だった兵士たちに出会ってしまう。当然、なんだお前は、金を出せ、ということになる。そこでジムナストの発した第一声がなかなかふるっている。こう「叫んだ」という。
《──皆さん、私めは哀れな奴でごぜえますよ。どうかお助け下さいまし。》第34章 p166

 ジムナストは並みいる兵士の前で酒筒を取りだすとがぶがぶ飲んで見せ、敵の隊長にも勧める。
《──私は哀れな悪魔めでございますよ。》p167

 演技が堂に入っていたのかなんなのか、敵兵はこの自己紹介を半ば信じ、股袋の中から祈禱書を出す奴までいる始末。
《そこでジムナストは、馬からおりるような振りをして、馬の左腹にぶらさがったが、細身のバタルド刀を小脇に掻いこんだまま、鐙[あぶみ]革をくるりと回したかと思うと、馬の腹を潜って宙に飛びあがり、馬の頭に尻を向けて鞍の上へ両足揃えてしっかと立った。そして、こう言った。「この乗り方は逆手でござったな」と。》第35章 p168

 逆手がどうこう以前に、この男は何をしているのか。それからも馬の上でぐるぐる回転したり、親指だけで体を支えたり、飛んだり跳ねたりの大騒ぎ。敵兵があっけにとられていると見るや、突如、ジムナストは襲いかかる。
《馬からおりて剣の鞘を払い、なかでも一番強そうな奴原めがけてばさりばさりと撃ってかかり、これを打ち倒して屍の山を築いてしまったが、敵兵たちは、斬られたり刺されたり突かれたりしながらも、相手は餓えきった悪鬼だとばかり思いこんでいたから、誰一人として手向かうものはいなかった。》p170

 その発想はなかったわ、というようなトリッキーな戦法である。ところが意外と冷静にも、「向う見ずな行ないは決してとことんまでやり続けるものでない」とわかっているジムナストは、敵隊長の「胃の腑と結腸と腎臓の半分とをばっさり断ち割」って引きあげる。じっさい悪魔である。
 曲芸→虐殺のコンボで敵兵を圧倒したこの男の名前、“ジムナスト(Gymnaste)”とは、「体操の先生」の意味との由。ジャン修道士とコンビを組んでいただきたい。


たいそう

(写真は本文と関係ありません)

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