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「ガルガンチュワとパンタグリュエル」を読んでみる  その14

[前回…]

 「ガルガンチュワとパンタグリュエル」は、全部で5巻ある。
 第1巻『ガルガンチュワ物語』の邦訳がはじめて出版されたのは昭和16年。第2巻、第3巻までは戦前に訳稿が作られた(出版は戦後)。
 そういういきさつがわかるのは、岩波文庫版には、文庫化に際しての訳者あとがきだけでなく、初版・改訂版に付いていた古いあとがきも順番に収められているからで、たとえば、「一九四三年[昭和十八年]六月十四日」の日付がある第2巻の「第一後記」には、このようなくだりがある。
《[…]息詰まるような決戦体制下の銃後にあって、未だにかくのごとき仕事に携わって居られる私は、諸師友の温情のありがたさに平伏すばかりの感動を覚えるのであり、それだけに、学究生活が国家の命によって許容されなくなる時がくるまでは、できる限りのことはせねばならぬと固く心に誓う者である。》p398

「できる限りのことはせねばならぬと固く心に誓う」と渡辺一夫は書いた。それは具体的にどのような仕事だったのか。
 きのうの続きで、父親にほめられたガルガンチュワは、得意になって自作の歌を披露する。
《いくらでも、うんとこさと歌は作りますけれども、歌をうたってうたたねのうだつのあがらぬ風邪歌ばかり。まあ、うんこをする人たちに、雪隠[せっちん]が何と申して居るかをお聴きくだされい。

  雲谷斎よ、
  びり之助よ、
  ぶう兵衛よ、
  糞まみ郎よ、
  そなたのうんこが
  ぼたぼたと
  わしらの上に
  まかれるわい。
  臭太郎よ、
  糞次郎よ、
  たれ三郎よ、
  聖アントワヌ熱で焼かれてしまえ!
   もし仮に
   みんなの穴が
   閉まっていれば、
  尻は拭かずに退却じゃて!

もっとやりましょうか?
――そうだ、やれ、(とグラングゥジエは答えた。)
――それでは、(とガルガンチュワは言った。)

   短詩[ロンドー]

  先日脱糞痛感
  未払臀部借財
  同香而非同香
  濛気芬々充満
  何人許諾欣然
  希携行我佳人
   善哉善哉
  欣然塞小用孔
  野人常不習礼
  佳人敢弄繊指
  得探我峡間穴
   善哉善哉

でもほんとうに、僕には何のことやら判りません! これは、糞真面目な話、僕が作ったのではないのです。でも、あすこの小母さまが吟じていらっしゃるのを聞いたものですから、頭の記憶袋へしまって置いたのです。》第13章 pp80-2

 註によれば、「短詩」の部分は「全くの戯訳」とのこと。さきほどの「第一後書」が思い出される。

 《息詰まるような決戦体制下の銃後にあって》
 《できる限りのことはせねばならぬと固く心に誓う》

 しばらく考えたものの、どんなコメントをつけたものかいつも以上にわからないので、リンクをひとつ貼り付けて今日は終わりにしたい。上の歌を2度3度と読み返してからクリックしてみると、軽いめまいを覚えるのだった。

 → http://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/hotelshop/


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