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2006/05/16

「ガルガンチュワとパンタグリュエル」を読んでみる  その12


[前回…]

 玩具の馬が気に入ったガルガンチュワは、20頭を越える木馬を自分の部屋に並べて一緒に寝ていた。あるとき、お供の者を引き連れ大挙してやってきた隣国の城主は、厩が手狭になってしまったので、空いている厩がほかにないかとガルガンチュワに尋ねてみた。もちろんガルガンチュワは、本物の厩ではなく、自分の部屋に彼らを案内する。
《――ここが御用の厩だよ。こいつが、僕の西班牙馬、あいつが去勢馬、ラヴダン馬、不整速足馬。[…]
 ――おじさん方に、このフリスランドの馬をあげよう。(と彼は言った。)フランクフルトから取り寄せたんだけれども、おじさん方のものにするよ。可愛い子馬で、とても力があるよ。こいつに乗って、蒼鷹の雄を一羽と、エパニョール種の犬を六頭と兎狩犬を二匹も連れていけば、おじさん方は、この冬はずっと、鷓鴣[しゃこ]狩りや野兎狩りの王様になれるよ。》第12章 p74

 何の気なしにこの部分に付いている註を読んで、私は笑ってしまった。
《僅か二、三歳のガルガンチュワの言葉としては、甚だ異常であるが、巨人の巨人たる所以であろうか?》p295

 赤ん坊が母親の左耳から生まれたり、母乳がわりに葡萄酒をぐびぐび飲んだりするような物語のなかで、ここだけが「甚だ異常」ということもないだろう。年齢と話しぶりのズレなんて、なにほどのものでもないじゃないかと私は思う。
 しかし、これだけ生真面目な訳者が地道に丁寧に日本語にしているという前提を噛みしめたうえで続きを読んでいくと、いっそう不思議な感慨がこみあげてくるのも事実である。というのも、やがて5歳になったガルガンチュワは、父王が戦を終えて久しぶりに帰ってきたときに、「国中探ねてみても、自分くらい清潔な男の子はいない」と胸を張り――
《――どうしてだね、それは?(とグラングィジエは言った。)
――長い間の熱心な実験の結果、(とガルガンチュワは答えた、)僕は、今までなかったような、最も殿様らしい、最も素敵な、最も工合のよい、お尻の拭き方を発明しましたよ。》p77

 この第13章が、名高い“ガルガンチュワが尻を拭く話”である。

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