趣味は引用
「ガルガンチュワとパンタグリュエル」を読んでみる  その11

[前回…]

 この読書日記(なのか?)も今日で11回目。いちおう、10回ごとくらいに繰り返し書いておいた方がいいのかも、と思うのは、私の読んでいる『ガルガンチュワ』は岩波文庫渡辺一夫訳だということ。ちくま文庫版を見た人から「引用部分、ページも何もちがうじゃないか」と怒られたりしたらおそろしい、って、それはどんな杞憂だ。空が落ちてきたらどうしよう。

 ええと、べつに私は『ガルガンチュワ』のいちいちをメモしていくつもりはなかったはずなのだが、きのうの続き、「第一一章 ガルガンチュワの幼年時代」の後半は、やはり引用しておかないとまずい気がする。幼児ガルガンチュワは、ほかに何をしたか。
《このちびっこの悪戯者は、侍女たちの体を、上下、前後と、絶えずいじくりまわし、――はいしい、どうどう!――もう股袋[ブラゲット]を動かし始めていたのである。侍女たちは、毎日毎日、この股袋を見事な花束や見事な紐飾りや見事な花飾り見事な総[ふさ]飾りで装い、そして、煉膏薬棒[マンダクレオン]でもいじくりまわすように、暇にまかせて交る交る両手で握りしめたが、こうした悪戯がお気に召したとでもいうように、お耳をおったてることがあると、皆は、げらげら笑い出すのであった。》p71

 ガルガンチュワばかりか、彼に仕える侍女たちにも問題があったというわけで、またも列挙・羅列が続く。
《或る侍女は、「妾[わたし]の可愛い捩子[ねじ]」と呼び、他の者は「妾の棍棒」と、また他の者は「妾の珊瑚枝」と、また別の者たちは「妾の栓」「妾の塞子[つめもの]」「妾の転把錐[くりこ]」「妾の圧しこみ棒」「妾の錐」「妾の瓔珞[ようらく]」「妾のぎったんばったんのおもちゃ」「妾の推しあげ道具」「妾の可愛い紅腸詰」「妾の可愛いお休み似指[ちんちん]」などと呼んだのである。》

 ここで「妾のぎったんばったんのおもちゃ」と言ってしまった侍女には厳しく注意しておきたい。お前だけ、フライングだ。「妾の可愛いお休み似指」は、飛び出したつもりでかえって最後尾になった印象。
《――これは、わたしのものよ、と一人が言うと、
 ――いいえ、わたくしのものでござります、ともう一人が言う。
 ――わたしには、(と別な者が言った、)何にもござりませぬの? あれまあ、それならば、いっそのこと切ってしまいまする。
 ――あれさ、切るなどと!(と別な者が言った、)おいたがらせ申しまするぞ。子供衆のものなどお切りになって御覧うじろ、それこそ、おしっぽのないお殿様ができあがりますわいな。》

「いっそのこと切ってしま」う、と暴言を吐いた侍女は、私見では、さっきフライングしたのと同一人物である。ガルガンチュワも危ないところであった。カード2枚、この女は退場である。

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