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エーコ『フーコーの振り子』の続き
フーコーの振り子〈下〉
前回…] [目次

 陰謀を捏造するため資料の山にのめり込むうち、あちこちで偶然とも思えない符号があらわれて、本当に自分が秘密を「発見」しているのではないかとなかば信じはじめる『フーコーの振り子』の主人公には聡明な恋人がおり、愛ゆえに(←そう書いてある)真摯な反駁をしてくれる。これはかなり滋味深い主張だと思う。
《「人間というのはね、妊婦の体に触れる前に医者に手を消毒するよう忠告したゼンメルヴァイスを信用しなかったでしょ? 彼は単純明快なことを言ってたのにね。逆に、毛生え薬を売りつけるような連中の言葉はすぐに信用してしまうものなの。[…] それはね、眉唾な話ほど最も奇跡に似ているからで、いいこと、あなたたちの作り出した話は、この毛生え薬みたいなものだわ。わたしは嫌いよ」》下巻p383

「この毛生え薬みたいなものだわ」!

 フォントを大きくしたりしないところに感動を読み取っていただきたい。このセリフを信じて生きてゆこう。しかし、何かを信じる/信じないの選択がすでに物語の圏内にあることも、エーコは知りぬいている。以下、今度こそ次回。

…続き
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