趣味は引用
S.Jackson"We Have Always Lived in the Castle"(1962)
We Have Always Lived in the Castle
Penguin(1984)

 読み終えてすぐにこんな事件があったので、不謹慎ながらちょっと笑った。
 http://www.yuko2ch.net/doku/
“We Have Always Lived in the Castle”は、最近復刊で話題の早川異色作家短篇集に『くじ』が入っているシャーリー・ジャクソンの中編小説。『ずっとお城で暮らしてる』のタイトルで邦訳(学研)もあるらしいが絶版。
 18才の語り手メアリーは、村の外れの屋敷に住んでいる。同居人は姉のコンスタンスと叔父のジュリアン、あと猫だけ。ほかの家族は数年前、食卓でまとめて毒殺された。犯人と目されたのはコンスタンスだが、証拠不十分で釈放。以来、3人と1匹は引きこもって毎日を送っている。
 村の人びとはこの姉妹を気味悪がって忌み嫌う。メアリーが買い物で家の外に出れば陰口、中傷、嫌がらせが巻きおこる。半病人のジュリアンは頭がおかしくなっていて、コンスタンスを自分の殺された妻とたびたび間違え、かの事件のことを長大な文章に書き続けている。彼の時間は止まったままだ。しかし当のコンスタンスはつねにやさしくふるまって、叔父を介護しつつ家事全般をこなしている。そんな彼女のことをメアリーは深く愛している。
 ところが、従兄チャールズの来訪が「お城」の生活を乱す。独善的にふるまう彼を、やさしいコンスタンスは受け入れざるをえず、メアリーは静かに不満を募らせていく。
 語り手メアリーの視点が、淡々としながらものすごく偏っているので、当然のこととして語られる出来事の当然でなさに、はっきりしない怖さが漂う。村八分の生活が、メアリーにとってはむしろ望んだもののように見えてくるのだ、彼女にはコンスタンスさえいればいいのだから。

 一軒の家を舞台にする以上、きっと●●で終わりになるんだろうと予想しながら読んでいたら、全部でだいたい210ページ中の150ページ目あたりでその●●が起きたのには拍子抜けした。早。残りをどうするんだ、と思ったのである。
 しかしながらこの小説は、●●のあとが面白い。詳しくは書かないが「デビルマン」を思い出した(詳しく書きすぎたかもしれない)。歪んだ幸福感に包まれた作品であった。