2005/10/15

文具船

 こないだの文房具の話を読んだ人からこういうものを教えてもらい、そうか、世の中には、というかあそこには、当然「文房具板」もあるんだなと覗いてみた。
 →速攻退出。いくらでも時間を潰せそうだった。危ない危ない。

 新製品をいろいろ試して最適の物をさがす探究心よりも、安物を延々使い続ける習性が勝っているおかげで泥沼化していない私であるが、ところでこれはどうだろう。「そんなにも角で消したい消費者がいる」というのが幻想じゃないかと思うのだが。

 さて、文房具にまつわる小説といえば、筒井康隆『虚航船団』があった。
 なぜか知らないが粛々と大宇宙を航行している船団のなかの一隻、乗組員がみんな文房具である「文具船」の構成を端から描写していき、ある惑星への攻撃指令が彼らに下されるまでの第一章と、その惑星の、ふしぎと地球に似た歴史(ただし住民はイタチ類)が縷々述べられる第二章、そして時間が飛び、文房具×イタチの終末戦争をふりかえる第三章からできた、壮大な叙事詩。正直「叙事詩」の意味をよく知らないが、いままた文庫本をめくってみて、筒井を読み始めてまもない高校生の時に、家に帰るバスのなかで最初のページを開いた瞬間がよみがえった。

《まずコンパスが登場する。彼は気がくるっていた。針のつけ根がゆるんでいたので完全な円は描けなかったが自分ではそれを完全な円だと信じ込んでいた。》

 この二行ですっかり固定された私のコンパス観は、最近になって、やはり友達に教えてもらった別の偏見でますます歪んだ。いま私の部屋にコンパスはない。
 ちなみに、『虚航船団』をSF作家でやる話を、筒井自身がどこかで書いていた。

《まず小松左京が登場する。彼は気が。アーッ、これはやめておこう。》

 みたいな感じだったと思うのだが、あらためて探してみると見つからない。どの本だったかわかる方がいらしたら教えていただきたい。


虚航船団
虚航船団
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筒井 康隆
新潮社 (1992/08)
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