趣味は引用
05/03/06

 友達の結婚式から真夜中に部屋へ帰り、ぐっすり眠って目覚めた日曜の朝、小1時間電車を乗り継いで向かった先はJR船橋法典駅。中山競馬場で競馬をするのである。

「ぜひ競馬場に行こう、きみは競馬をやらなくちゃだめだ」とよくわからないことを言って私を誘ったのは競馬ファンの友達(一応、友達Cとする)で、こうやって引っ張られなければ一生行く気にもならないだろうから、「じゃあガイドしてください」とお願いしたのだった。

 臨時改札口の外で競馬新聞をにらみながら待っていた友達Cは、高校の頃から競馬場に通っていたらしいが、それは「馬を見たいから」であって、お金には頓着していない。だから場外馬券売り場など論外だし、1日で使う金額は合計しても1000円台だという。

「でもね、メインレースは大きく賭けるよ」
「ど、どれくらい?」
「500円」

 理想的なガイドである。

 中山競馬場は、広大な空間にエスカレーターがあり、無数のスクリーンと券売機が並ぶ前を人の波が行き来して、大きい駅の構内のようだった。建物は想像していたより遥かにきれいだが、そこにひしめく人間はわりと想像通りなのが楽しくて仕方がない。気持いいほどの喫煙無法地帯。子供を連れた親の外見なんかも想像通りといえば想像通りである。

「初歩的なレクチャーを受けながらパドックで馬を見る → 新聞やオッズをちょっと検討 → 馬券を購入 → レースを見る → 次の馬を見る」
 この繰り返しで昼過ぎの第6レースから12レースまで観戦。使ったお金の合計は1500円。最後のレースで670円が戻る。友達Cもほぼ同様。

 11レース目がいわゆる弥生賞だったらしく(知らずに行った)、友達Cの今日最大の目的も、ここに出場する〈ディープインパクト〉という馬を見ることなのだった。異様に前評判の高いこの馬は、最終コーナーを回ってからの直線で8頭を抜き優勝。「アラレちゃんかよ」と思ったが、たとえが古くて申し訳ない。友達Cは破格の700円を賭けていた(でも外れた)。

 ところで、馬の名前に「それはどうか」と言いたくなるものがあるのはよく知られている。今日見たなかでも、〈プリンセスモモコ〉〈オレハマッテルゼ〉など、かなりの「それはどうか」感だが、最も印象的なのはこれだった。

 〈グラビアタレント〉

「来ねえ、グラビアは来ねえ」。そう言ってどこかのおっさんは煙草をもみ消した。