2005/03/05

続 05/03/05

朝…

 睡眠3時間半で出発した私が新幹線の中で読むのに持っていったのは、フィリップ・K・ディック『ドクター・ブラッドマネー』(創元SF文庫)だった。先月、出てすぐに買ったのにまだ読んでなかったからというほかに理由はなかったが、冒頭に「NASAのロケットで火星という新天地に出発する一組の夫婦」なんてのが登場するのでもしかすると今日にふさわしいのかもしれず、この本を選んだのは吉兆だったかもしれないと思う。
 数十ページ後、事情によりロケットは地球の軌道を回り続け、しかも妻は病死したので本を閉じる。何かもう1冊持ってくるべきだった。

 目的地が近づくと窓の外はまだ吹雪いていた。しかし、友達Bとタクシー代を折半して式場に着き、ロビーで時間を潰しているうちに雪はやんで、それどころか、チャペルでの式が終わり外に出ると、空は一転、晴れ渡っていたのだった。

「これはあれだな、披露宴で『二人の愛の力が天気を変えた』とスピーチするやつが絶対いるな」
「そんな嫌そうに言うなよ」

 披露宴は普通だった。祝辞がありウェディングケーキがありキャンドルサービスがあって、「Can You Celebrate?」があり「バンザイ」があり「さくらんぼ」があった。友人スピーチがありプレゼント贈呈があり初老の親戚が歌っている時間を使ってお色直しがあったし、ビールがありウィスキーがあり日本酒があるなかに幸い烏龍茶もあったが、後半になってようやく言葉を交わすことができた新郎たる友達Aはベロベロだった。ベロベロの新郎たる友達Aみずから、最後の挨拶で「雨降って地固まる」と言ってのけた。心底立派だと思った。

 その新郎たる友達Aが二次会の折りに隅のほうでこぼすところによれば、「式はやらなくていいよね」「うん」で入籍したのに、半年経ってから突如、おヨメさんが「やっぱりやりたい。どうしてもやりたい」と駄々をおこねになられたという。

「もうね、式のことではケンカばかり。やるって決めるまで、別れる別れないの大騒ぎが何度も。そういや、おれが泣いて許してもらったこともあった」
「ひゃあ」
「それがいつの話?」
「えっと、先月だな
「もう決まってたろ」
「今度はお前が駄々かよ」

 しんしんと冷える中、友達Bと駅に戻り、新幹線が動き出した途端に眠った。目が覚めたら東京だった。猛烈に「カリオストロの城」が見たくなった。



ドクター・ブラッドマネー―博士の血の贖い― (創元SF文庫)ドクター・ブラッドマネー―博士の血の贖い― (創元SF文庫)
(2005/01/22)
フィリップ・K・ディック

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