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斎藤美奈子『文章読本さん江』(2002)
文章読本さん江
筑摩書房

 古今の各種文章読本を読みまくり、その偏向を観察して蹴りを入れる。
 たしかに面白いし、痛快だが、もっといえば「斎藤美奈子が文章読本について書いたらこうなるだろう」という予想にあまりにぴったりの出来なのだった。
 文章読本の世界では、野口英世の母シカが息子に宛てて書いた手紙が感動的な「達意の文」として賞賛され、お手本としてあちこちで引用される。
「おまイの。しせにわ。みなたまけました。」で始まる、句読点は乱れ誤字だらけの手紙(お前の出世には、みなたまげました。)をながめて斎藤美奈子は云う。
《シカがこのことを知ったら、おそらく恥と感じるはずだ。彼女だって、もっとちゃんとした手紙を書きたかったんだと思うよ、本当は。》

 この人に人気があるのは当然だと思った。
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