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ナボコフのメモ
 ウラジーミル・ナボコフ。1899年、ロシアの名門貴族の家に生まれ、幼少から英語・フランス語の教育を受ける。革命のため国を追われて、イギリス、ドイツ、フランスとヨーロッパを転々。ロシア語と各国語で創作活動。1953年よりアメリカに移住、教壇に立つかたわら英語で執筆を行う。ロシア語作品の英訳も自分で。『ロリータ』の大ヒット後はスイスに暮らす。1977年没。
『青白い炎』を読んだ頭でふらふらと若島正『乱視読者の冒険』(自由国民社)『乱視読者の帰還』(みすず書房)をめくり、ナボコフ作品の読み方について書いてあるところを拾ってみた。
《まず、最短の直線経路は、つねに疑わしいということを知っておく必要がある。それはたとえば、ナボコフを「故郷喪失」あるいは「失われた少年時代」という言葉ですべて説明しようとする道である。こうした言葉で語られる物語は、読者の共感を誘うだけに、容易に作者との同化をうながすように作用し、いわゆるノスタルジアを歌う作家としてナボコフを理解したような気にさせてしまう。》『冒険』


《 「他人はあずかり知らぬところだし、またもちろんそうであってはならないのだが、私の個人的な悲劇は、二流の英語と引き替えに、生得の言語である豊かなロシア語を捨てねばならなかったことだ」とナボコフは語っている。ナボコフ文学を考えるときに最大の問題は、まさしくこの一点、すなわち彼がロシア語を捨てて英語で書いたという点に集約される。》『帰還』

《ナボコフは、『ロリータ』を書くことによって意識的にアメリカ作家になろうとした。それはけっして、ロシア人としての自己、ロシア語、さらにはロシアの文学遺産を完全に放棄しようとしたわけではない。『ロリータ』に付けた後書きの中で、ナボコフはこう語る。「私のロシア語による作品の読者なら誰でも知っているように、私の旧世界―ロシア、イギリス、ドイツ、フランス―は、新世界とまったく同様に、幻想的で個人的なものである」。要するに、ナボコフの世界はすべて彼が言葉によって再創造した世界であり、そうした創作態度は少年時代のロシアの記憶を綴るときにも変化はない。そこで描かれていたロシアは、文字どおりナボコフのテクストの中にしか存在しない幻想のロシアである。従って、ナボコフ文学とは、時間と空間を超越しようという絶えざる試みとしてまず読まれるべきものとなる。》『帰還』

乱視読者の帰還
乱視読者の帰還
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若島 正
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