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大江
 本棚をいじっていたら、大江健三郎の講演集『あいまいな日本の私』(岩波新書)を発見する。読んでいたのか。シカゴ大学で行われたという講演の部分で1ヶ所だけページを折ってあった。
《もっとも、大学で話すということは、私のような小説家には大きい試練、苦行なのです。私は東京の大学を卒業したのですが、それ以来、大学から逃げまわっていました。同じ生き方をしているように見える小説家に安部公房がいます。かれは私と同じ大学の医学部を卒業しました。その際、大学とも医者の職業とも縁を切ることを決心していました。しかし卒業面接の教授はもっともやさしい質問をして、安部に医者になる道を開いておいてやろうとしたのです。――象と人間の女性の妊娠期間の長さを比較せよ。安部は次のように答えたとつたえられています。「女性について一般的な議論は意味がないと思う。」》P137-138

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