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2004/04/06

その66 ― ピンチョン Lot 49

競売ナンバー49の叫び

前回…] [目次


 いまや成人したニコロは、身分を隠したまま郵便組織〈テュルーン、タクシス家〉の一員となり、敵国スカムリアに滞在している。
 アンジェロは、料金格安・サービス迅速の〈テュルーン、タクシス〉をなぜか信用せず、通信には自分の使者しか使わない(※ここ、重要な伏線)
 ニコロが仲間と共にこの国にいるのはアンジェロを説得して契約を結ぶためだが、真の目的はもちろん、父の仇討ちである。

 いっぽう、併合をねらうアンジェロの次の算段は、ニコロ亡きあと(ほんとは自国へ営業に来てるわけだが)のファッジオで政権を掌握したパスカーレと公式な姻戚関係を作ることで、そのために自分の妹フランチェスカをパスカーレに嫁がせようとしている。
 ところが前回書いた通り、彼女はパスカーレの生みの母なのだから無理がある。息子との結婚をフランチェスカは拒むものの、どっちみち悪趣味なことに、彼女とアンジェロはむかしから近親相姦していたのだった。

 素直なニコロから身の上の秘密を告白された同僚・ドメニコは、あっさり友情を捨ててアンジェロに密告するため宮廷に急ぐが、公爵はちょうど(妹と)取り込み中。代わりに接見したのは行政補佐官エルコーレで、これも前述のように、彼こそがニコロを助けた策士だったから、うまくドメニコを騙して虐殺してしまう。王水をかけたり去勢したり、その様子が両人の口から事細かに説明されるらしい。
 エルコーレがドメニコから抜いた舌を剣に刺して火をつけ、思わせぶりな台詞を叫ぶところで第一幕が終わる。
[…] Descended this malign, Unholy Ghost,
  Let us begin thy frightful Pentecost. (p52)

[…]このようにして悪意の、聖ならざる聖霊は降りた
 さあ、おまえの恐ろしの聖霊降臨節[ペンテコステ]をはじめようp81/p91

ペンテコステ」とはキリスト教の復活祭(イースター)から7週間後の日曜で、聖霊が降りてきた記念の日のこと。
 訳注解説によれば、使徒ひとりひとりの上に炎のように分かれた舌が現われ、彼らを通し、さまざまな国の言葉で神の教えが語られたという。

 人間を越えた存在の持つ「炎の舌」が真実を語る、というイメージは、The Crying of Lot 49 というこの小説で主人公エディパの強迫観念になっている「真相の到来とその啓示(revelation)」に――たとえばここの後半に書いたようなかたちで――結びついている。

…続き

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