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その58 ― ピンチョン Lot 49
競売ナンバー49の叫び

前回…] [目次


 ボートが動き出す直前、グレーのスーツとサングラスを身につけた男二人が遠くからディ・プレッソを見つけて向かってくる。間一髪、ディ・プレッソを乗せたボートが岸を離れる頃には、追手の数はさらに増えている。これは映画の撮影ではない。
 彼は事情を説明する。実はここでもピアス・インヴェラリティに結びつく出来事が起こっていた。

 弁護士から俳優になったはずのディ・プレッソは、最近また弁護士の仕事も再開し、トニー・ジャガーなる人物の依頼を受けていた。この男は、〈コーサ・ノストラ〉というイタリア系のマフィア型犯罪組織の大物である。
 ピアスが関係していた煙草会社は、フィルターに高級な骨炭を使用していた→その28。その原料になる骨を提供したのは〈コーサ・ノストラ〉だったのに、ピアスは代金を支払わなかったとしてトニー・ジャガーは訴訟を起こす。
 ディ・プレッソはこのマフィア側の弁護士だったのだが、裁判の雲行きがあやしくなったので逃げ出したという。つまり依頼人に追われているのだ。エディパはあきれる。

 話の途中でボートは湖中央の小島に着いた。日のあたるホールの屋上に毛布を広げて酒を飲みながら、大人3人の情報交換は続き、〈ザ・パラノイド〉の子供たちは子供たちで遊んでいる。
 メツガーの明かすところによれば、フィルターの骨炭は人骨から作られている。高速道路の建設会社が、取り壊した墓地から集めた骨を売りつけるのがどうやら一般的であるらしい。
 ただし、〈コーサ・ノストラ〉のルートは別だった。
 彼らはイタリアにある湖から大量の人骨を引き揚げて、アメリカに持ち込んだ。いまエディパたちのいる湖の底に、ダイバーの目を楽しませる小道具として沈められている骨もじつはその一部なのだとディ・プレッソは語る。

 では、そもそもそのイタリアの人骨は何なのか。だれの骨で、どうしてそこにあったのか。話は20年ばかり過去にさかのぼる。

…続き
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