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その57 ― ピンチョン Lot 49
The Crying of Lot 49 (Perennial Classics)

前回…] [目次


 やたらと〈トライステロ〉なるもののイメージを盛り上げ、その登場は演芸のようで、はじまりは歴然としていた――とする地の文。ではそれはどのような登場だったのか。
 読んでみると、お世辞にも「歴然と」はしていないと思うのだがどうか。

 生前のピアス・インヴェラリティがよその州でしていた事業について法的な事務手続きがなされるのを待つあいだ、エディパとメツガーは、マイルズはじめ〈ザ・パラノイド〉の少年たち、および彼らのガールフレンド数名と連れ立ってピクニックへ出かける。
 目的地は〈ファンゴーソ礁湖〉といって、ピアスが亡くなるまえ最後に開発していた造成地である。「礁湖」という言葉は見慣れないが、環礁に囲まれた海面、でいいようだ。
 車を走らせながら、エディパは海のことを考える。人間が海べりで何をしても、太平洋は汚されず完全なものとしてある、とか、人間の行う開発に対して海は救済になる、みたいなことを彼女は信じているらしい。

 到着した湖は「インヴェラリティ湖」と名付けられている。その真ん中には円形の島があって、ホールが建っている。湖の底には、円柱や壁の破片やガリオン船、本物の人骨、貝殻などがダイバーを楽しませるために沈められているのだと、かつてメツガーが説明していた→その26。これは人工の湖なのだ。
 車から降りたエディパたちは、食べ物や飲み物を入れたバスケットを手に湖岸を歩く。〈ザ・パラノイド〉の面々が桟橋につながれているボートを盗もうと提案し、さっそく一台のモーターを回した瞬間、別のボートの中から青いポリエチレンの防水シートをかぶった人物が立ち上がり、発した言葉は「ベイビー・イゴール、助けてくれ」。
 子役をしていた頃の芸名→その22で呼びかけられたメツガーは、嬉しくなさそうに答える。「マニー・ディ・プレッソじゃないか」。

 この名前は、やはりモーテルの場面で一度出ている→その27。メツガーの友人で、子役から弁護士になった彼とは反対に、弁護士から役者に転身したという男だ。
「見張られている」と言うディ・プレッソはこちらにやってきて、今まさに盗もうとしていたボートへいっしょに乗りこむ。また厄介そうな人間が増えてしまった。

…続き
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