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2004/04/05

その55 ― ピンチョン Lot 49

The Crying of Lot 49 (Perennial Classics)

前回…] [目次


 前回、長々と引用した、「こうやって〈トライステロ〉は現われてきた」とする語り口を見る。

 エディパが観客になった「演芸」の舞台で、踊り子が特別サービスで衣装を順に取り去り、次第に「凄まじい裸身」をあらわにする、そんなふうにして正体を明かしはじめた〈トライステロ〉は、そのままそっと去って行くのか、それとも、
《ぎらぎらした目をエディパに据え、微笑は悪意に満ちた、非情なものとなり、人のいなくなった席の列に一人座っている彼女に向かって、およそ聞きたいと思わないような言葉を発しはじめるのだろうか?》pp64-5/p72

 何度も繰り返すが、ここまで、〈トライステロ〉が何なのかわかるよう書かれた部分はひとつもない。「これから現われるもの」として予告されただけだ→その40。この文章も同様に、まだ見ぬ〈トライステロ〉がどんなものかを思わせぶりに示すだけである。

 喩えとしてストリッパーのイメージが使われているのは、酔っ払ったエディパとメツガーがしていたストリップごっこからつながっている→その31
 もっとさかのぼれば、そこのモーテルにあったニンフ像のまとっている衣装が送風装置でめくれあがり、体があらわになるのを「reveal」という言葉で描いていた(→その20のも、ここにある《〈ザ・トライステロ〉がその凄まじい裸身となって正体を示す(The Tristero could be revealed in its terrible nakedness)》という表現に類似している。

「revelation(啓示)」は、探求の末に見つけ出されるはずのものとして設定されるいっぽうで、突然あちらから訪れてくるものとしても説明されていた→その19
 エディパが聞きたいと願いながらまだ聞こえない声、神の御言葉、それが「啓示」であるとするならば、いまここで、〈トライステロ〉がもたらすことになるのかもしれないとほのめかされる「言葉」、それこそが彼女の求めるものになるのだが、そこのところのイメージは、いつのまにか不穏なものに成り変わっている。
《彼女に向かって、およそ聞きたいと思わないような言葉を発しはじめるのだろうか?》

 知らないほうがいい真実、そんなものがこれからエディパを襲うことになる――と、疑問形であってもこの文章ははっきり告げている。そして、それを媒介するのが〈トライステロ〉だということになるだろう。
 でも、それは何なのだ。

…続き

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