2004/04/04

その48 ― ピンチョン Lot 49

競売ナンバー49の叫び

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 エディパの入ったトイレの壁には、卑猥な落書きにまじって次のメッセージが書かれていたのだった。落書きは落書きだが、きっちりした字だったという。
“Interested in sophisticated fun? You, hubby, girl friends.
The more the merrier. Get in touch with Kirby, through
WASTE only, Box 7391, L.A.”
(p38)

洗練されたお遊びはいかが? あなたも、ご主人も、ガールフレンドも。
人数が多ければ、それだけ楽しくなります。カービーにご連絡を。
ただしWASTEを通じて。ロス・アンジェルス私書箱7391
p61/p68

WASTE」とは何なのか、今のエディパにはわからない。ゴミ?
 そしてメッセージの下には、これまで見たことのない印が薄く鉛筆で書かれていた。輪と三角形と台形の組合せでできているそのマークは、こんなものである。
          lot49

 マークはともあれ、メッセージの内容を勘繰ると、なんとなくいかがわしい雰囲気が感じられなくもないが、エディパはなぜだか、そういうものではないんじゃないかと思う。
 何らかの組織からの誘い。ではこのマークは、そのグループのシンボルなのか。彼女はペンと手帳を取り出し、この落書きをメモして、「秘密文字(hieroglyphic)だわ」、と嘆息する。
 以前、丘の上からサン・ナルシソを眺めたとき、街並みが「意味を秘めた神聖文字のようなパターン」として感じられた→その18のと同様に、この落書きされたマークも、エディパの目には「何か、自分にはわからない秘密の意味」を隠した暗号として映るのだった。

…続き

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