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2004/04/04

その47 ― ピンチョン Lot 49

The Crying of Lot 49 (Perennial Classics)

前回…] [目次


 それでは、〈ピーター・ピングイッド協会〉はどんな活動を行っているのか?
 バーにたむろするファローピアンたち〈協会〉メンバーにとって大事なのは、ピングイッドが歴史上はじめて、アメリカ×ロシアの衝突による波をかぶった「犠牲者」だという点である。
“that was the very first military confrantation between Russia and America. Attack, retaliation, both projectiles deepsixed forever and the Pacific rolls on. But the ripples from those two splashes spread, and grew, and today engulf us all.” (p36)

《「これこそロシアとアメリカの最初の軍事的対決だったのです。攻撃、報復、両軍の砲弾は永久に海に沈み、太平洋は今日も渦まく。けれども、この二隻の船の飛沫から生じた波紋はひろがり、大きくなり、今日ぼくたちぜんぶを巻きこんでいるのです」》p58/p65

 このように、物事を過去からいきなり現在にまで波及させる語り口はいかにもピンチョンらしいが、続くファローピアンとメツガーの会話をみても、〈協会〉が右翼っぽい左翼なのか、左翼がかった右翼なのかはよくわからない(「極右の反共団体の方がぼくらよりよっぽど左翼的だ」みたいな台詞がある)。
 どうも反共的ではあるのだが、産業資本主義の根っこにも共産主義と同じおぞましさがあるとするピングイッドの精神を汲んで、そちらにも反対するらしい。
 ともあれエディパをおどろかせたのは、軍を辞めたピングイッドが「カリフォルニアで土地の投機」をして儲けた、という後日談だった。これは皮肉なだけでなく、あのピアス・インヴェラリティのやったこととまったく同じなのである。またもや符合があらわれた。
 そのとき急に店内がざわめく。見ると、やって来たのは革の郵便袋をかついだ肥った男。
“Mail call,” people were yelling. […] The fat kid, looking harassed, climbed up on the bar and started calling names and throwing envelops into the crowd. (p37)

《「郵便召集」とひとびとは叫んでいた。[…]肥った青年は、うるさそうにしながらカウンターの上に登り、名前を呼んでは封筒を群集に投げ渡しはじめた。》p60/p67

 こんな夜中に郵便配達があるはずがないし、もっとおかしなことに、この配達夫はヨーヨーダイン社の社章を付けている。
 じつはこれこそが〈協会〉の活動の一環なのだが、その意味と意義を教えてもらう前にエディパはいったんトイレに入り、そこで〈協会〉以上に不思議なしるしを見つけることになる。

…続き

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